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CBD LOCAL | ::ICCAという視点からみる里山・里海の保全と、新たな連携に向けて
  • 2010-11-25 01:56:39
  • ICCAという視点からみる里山・里海の保全と、新たな連携に向けて
COP10では、田ノ浦の海の埋め立てという緊急事態を迎えた上関原発開発から、生物多様性ホットスポットの海と、その海と共に暮らしてきた祝島の人たちの暮らしを守るために、様々なアクションが行なわれたが、世界中のNGOや先住民グループの人たちに共感の輪が広がり、本会議での声明発表(57分45秒〜)につながったのは、ICCA(先住民共同体保全地域)に関わっているNGOや先住民グループの人達からであった。

ICCAとはどのようなものなのか。以下にその説明を引用する。

<ICCA(先住民共同体保全地域)に関する説明>
http://www.nacsj.or.jp/project/5actions/links.html より引用。

ICCA(アイシーシーエー/Indigenous and Communities Conserved Areas)とは「先住民族や地域コミュニティーが生活や文化の中で生物多様性を守ってきた地域」というもの。

そのポイントは、
(1)その地域とコミュニティーの活動は、農林水産業や、林産物の収穫など、生物多様性保全の目的のための活動でなくともよく、
(2)その土地が共有地や入会地、私有地、政府の土地、またはそのモザイクであろうと構わず、地域共同体が利用方法などを決めていて、
(3)実際に保全が実現している、
という3点。

ICCAの考え方は2010年5月に開催されたCOP10のプレ会議の科学委員会で、各国の注目を集めた。
国際的にはこれまで、「生物多様性の保全の目的で定められた陸域/海域」が保護地域とされ、議論の多くは政府が設定した自然公園や野生生物の保護地域などが対象だった。

政府が地域社会と協議せず一方的に設定(時にはODA目当てで設立)したような地域は、管理の効果への疑問や、Paper Park(保護地域として設立されても、何の手当もされていない地域)として問題視されてきた。

ICCAはこのような保護地域制度とは一線を画し、地域社会の営みによって事実上保全されている地域に光を当てようという現場からの発想だ。

日本でも注目されている里山の保全は、生物多様性の保全にも貢献してきた地域の暮らしや文化の再認識であり、今後地域が主体となることでしか成功しないもので、ICCAと共通する部分が少なくない。

ICCAを保護地域として認めていこうという目的で、COP10には多くの研究者や活動家が来日する。COP10は日本の里山保全をICCAの面から考えたり、保全活動に活かせるICCAの事例などの情報交換をする最大の機会となる。

--以上、引用終わり--


上関原発の問題に対して、多くの力強いサポートを受けることができたのも、それはまさにICAAそのものの保全に関わる問題だったからであろう。NGOや先住民族関係者にとっても、とてもタイムリーでホットな話題だったのだと推測される。

COP10では新戦略目標(愛知ターゲット)で、陸域17%、海域10%の保護地域設定が約束された。保護地域については、効果的な管理や周辺地域との連続性、重要地域と法的に保護されている地域のギャップを埋める取り組みといった、これまで話題になってきた取り組みに加え、先住民や地域共同体が保全してきた地域(ICCA)の認識やその取り組みへの評価が、今後とても重要な視点になってくるはずである。

政府は里山イニシアティブをうたっているが、ICAAの考え方はまさにそのものであるのだから、今後は積極的にICAAとリンクしてゆく必要があるだろう。
COP10会期中に何度か行なわれたICCAのフォーラムや会合、ワークショップに参加したが、そこに参加していた日本人はごくわずかで、関心(認知)はまだまだとても低いものであった。まずは、我々市民レベルでの交流からだろう。



そんな中で、COP10会期中に名古屋発の新たな動きも始まった。
「伝統的生活様式をまもる先住民族共同体と地域共同体」日本ネットワーク(=日本シルク・ネット=Japan SILC Network=Japan Supporters of Indigenous and Local Community Network)の結成呼びかけが、CBD市民ネットの顧問である武者小路先生と名古屋事務局コーディネイターの駒宮氏から行なわれた。

以下は、その呼びかけ文である。

<伝統的生活様式をまもる先住民族共同体と地域共同体 日本ネットワーク 結成の呼びかけ>

われわれ、生命とその多様性の急速な崩壊を憂える日本市民は、これを食い止めるために、
世界の伝統的な生活様式によって生命とその多様性を守り続けている先住民族コミュニティならびに地域コミュニティと連帯し、これらのコミュニティをサポートするために日本シルク・ネットワーク( 「伝統的生活様式をまもる先住民族共同体と地域共同体」日本ネットワーク)を結成するために、関心を寄せる市民と関係諸団体に協力をよびかけるものである。

このネットワークは、次の三つの視点を共有して、日本国家と市民に対して「伝統的生活様式をまもる先住民族共同体と地域共同体」との協力が生命とその多様性の急速な崩壊を避けるために不可欠であることの理解を深めるとともに、日本国家ならびに市民による支援・協力活動の促進に貢献する。

1.現在、日本とその他の先進工業諸国において、「伝統的生活様式をまもる先住民族共同体と地域共同体」とその住民に対する経済的・政治的・文化的にその生きる権利の侵害が様々な形で行われていることを確認し、これを防止するための諸活動を展開する必要があることを確認する。

2.先進工業諸国の中でも、日本は1950年代まで、開発途上国として伝統的な生活様式の残る多くの地域コミュニティを持っており、今日でもその智慧を守り続けている古老や、これを再発見しようとする青年男女が活動している。このような日本社会の特徴をいかしていけることを確認する。

3.とくを含む中国文明圏と南アジアに広がるインド文明圏とは、欧米と違って、「伝統的生活様式をまもる先住民族共同体と地域共同体」と自然観・生命観・土地観において共通する伝統的な文明であり、この共通性を再発見しながら、ともに命とその多様性を守る協働体制を組めることを確認する。

--引用終わり--


また、高尾山のトンネル工事の中止を訴えて活動する虔十の会の坂田昌子さんが呼びかけて、青森六ヶ所、山口祝島、沖縄高江をはじめ、全国の生物多様性ホットスポットを守る活動を続ける人たち=ホットスポッターズが一堂に集まっての大ミーティングが、COP10会期中の21日、朝から夕方まで隣接する熱田生涯学習センターで行なわれ、23日フォーラム大会場での2時間の発表と声明発表が行なわれた。題して「ホットスポッターズ・ミーティング」。

テーマは、1.行政とのかかわり方 2.マスメディアの活用 3.市民メディアの構築 4.ネットワークづくりについて。
目的は、1.生物多様性ホットスポットを乱開発から守るために 2.生物多様性の重要性を広く認知してもらうために、どうすればよいか?

これらは現場の人間たちにとっては切実な課題であり、運動を次の段階にレベルアップさせるためには欠かせない、とても本質的なものである。当然フォーラム発表だけで終わるわけもなく、熱冷めやらぬまま場所を移動し、カフェ閉店後も外で熱いミーティングは続いた。
初めて一堂に会したこともあり、このつながりを継続してゆくことを全員が望んだ。



ICCA(先住民族や地域コミュニティーが生活や文化の中で生物多様性を守ってきた地域)をまさに体を張って守っている人たちが、このホットスポッターズである。
紹介したこの3つの動きは、まだつながっていないが、今後の連携が期待される新しい動きであろう。

生物多様性豊かな自然と、自然とともに生きる暮らしを、当事者や現地だけで守ることは、まだまだ人々の意識も社会制度も未成熟な日本においては困難である。むしろ発展途上国と言われた時代の方が、伝統的知恵が社会的に機能していたため、良かったと思われるほどであろう。
そのためにも、今、新たな大きなつながりが必要とされている。


*写真は10/28に、ホットスポッターズや名古屋の若者たち、NGOメンバーらが集まって国際会議場を取り囲んだHappy Linkの模様。JANJANより転載。
happylink.jpg

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